わたしに会うまでの1600キロ

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2014年アメリカ映画

アメリカにはパシフィック・クレスト・トレイルという長距離な遊歩道があるという。
なるほど僕もテキトウ歩きや低山ハイキング、もちろん遊歩道は好きだ。むやみに歩きたいタイプだ。
しかしこのパシフィック・クレスト・トレイル、略してPCTはアメリカを縦に横断する、つまりメキシコ側からカナダ国境までつながるアホみたいに長い遊歩道だ。なにが”遊”歩道だ限度があるだろうが

全長は2650マイル、つまり4260キロメートルだ。なんでも奇特な人はこれを4~6ヶ月で歩くらしい。1シーズンでやっちゃうのを”スルーハイク”といい年間300人くらいが挑戦するんだと。クレイジーな国だ。

で、この映画は、なんつうかふと思い立っちゃって(まぁそれほど単純じゃないか)このロング・トレイルを始める素人の女性のお話だ。実話をもとにしてるという。

主演はリース・ウィザースプーン。ゴールデン・グローブを何度も獲って、アカデミー主演女優賞も獲った女優さんなのに正直存じ上げなかった。映画を見ててなんども彼女は濱田マリさんではないかと疑った。

話はもうシンプルだ。母親の死からまるっきし自暴自棄になってしまったシェリル(リース・ウィザースプーン)。
夫以外の行きずりのジャンキーとやりまくるわ、さらに薬でヘロヘロになってまたやりまくるわと自暴自棄にもほどがある。そして離婚。
どうしようもないほど堕ちてしまった彼女がふとみつけたのがパシフィック・クレスト・トレイル。その無謀なチャレンジに行く決意をするのだ。。

・・・ジャンキーだったんだろ。死ぬぞ・・

まず旅立ちの日。食料と水をバックパックにしこたま詰め込む。すると重すぎて立ち上がることもできないのだ。倒れたら起き上がれない。
おいおい、だいじょぶかほんとに。

トレイル開始のところまでヒッチハイク。荷物を置いて走り去る車。ぼっちになったシェリル。不安しかない。
それでもトレイル入場のサインをする。登山でする入山の届け出のようなものか。
歩き始めたとたんに後悔し始める。過酷すぎる。荷物が重すぎる。

初日はまだ日が高いうちにテントを張る。テントを張るのだって初めてだ。
ガスコンロで料理をしようとしても、持ってきたGASがコンロと合わない規格のもので調理できず。もう無理やろ。。

合間合間でシェリルの過去が挟まれる。
この亡くなった母(ローラ・ダーン)が素晴らしい。貧乏なシングルマザーだったが底抜けに明るかった。シェリルが大学生の時、お母さんも学びたいと同じ大学に入る。なんとも素晴らしい。
しかしようやっとお母さんが自分でやりたいことを始めようとしたその時、病が発覚するのだ。

夫も優しい人だ。なんとかシェリルを引っ張り上げようとしたのだが駄目だった。過酷なトレイル旅立ちの日に彼は助けられなかったことを詫びる。そして途中途中で彼女に旅に必要な物資を通過地点に送る。別れた男はなかなかそんなことしないよね。

それにしても過酷な旅。途中で食料が尽きたり、靴が合わず足がえらいことになったり、さらに絶望的なのが山のてっぺんでその靴をはるか崖下に落としてしまったり。靴がなきゃお仕舞いじゃん。

という話なんだけど、まぁひたすら歩いてるシーンだよね。
この歩くって行為はほんとうに僕も好きだ。自分を省みるし、頭の整理や現況を再度把握するにはもってこいだ。
そして自然。自然の中をただ歩くとほんとうにうじうじ悩んでるのが馬鹿らしくなる。いやそれどころじゃないって気持ちになる。ちゃんと歩かないと帰れなくなっちゃうからね。

それにしてもこんなには歩けないよ。。
シェリルは結局3か月で1600キロメートル踏破するわけだ。
1600キロってね、鹿児島から直線距離で北海道の帯広くらいまでだったよ!恐ろしいね!
つうかホンモノは4260キロってどういうことだよ。修行を越えてるね!

過酷な旅のなか困難を自らの力で抜け自信を取り戻してゆく。そこで出会う人々に勇気や感謝を思い出しながら。途中行きずりで一発やっちゃいながら。

もうまさしくのロードムービーなわけだけど、いいね、自然を歩くのはいいね、ハイキングに行きたいね、
つうかハイキング止まりで満足だね、十分それで自分を省みれる男だね僕は。

こんなただ歩くだけでこんないい映画ができるんだなぁ。それは自然が本物なのとリース・ウィザースプーンの演技が本物だからだろう。
観てほしい映画ですな。ハイキング好き、トレイル好き、もしくはひどく落ち込んでいる人に特に。
達成感を共に味わおう!

このキツネのシーンは美しかった。まぼろしかもしれないキツネ。追えども戻らず。

マイ点数 8/10点

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